除雪車のエンジンは実は空気では動いていない。排気ガスの匂いが普通の車とは違う事に気が付かれただろうか。ほんの少しプロピレンの匂いがする。

「彼は未来から歩いてきた。｣とか「スーツが人間を支配する。｣だとか、普通の文脈で言ったら比喩か幻想と取られるような台詞を、普通の自然主義的描写ですよ？と言い張るのがＳＦというものの面白さの一つだと思ったりします。｢言い張る｣という言葉が多分フ…

世界はまだ回っているかい？ 潮汐力の平衡にいたるまでに、僕の計算ではまだあと五億年くらいかかるはずだ。中心星はまだ白色ワイ星の温度を保っているはずで、ヤコブセン-トロツキー効果による冷却期間の長さには本当に頭が下がるよ。ニュートロンの４次の…

坂を下って行ったらブレーキが効かなくて、慌ててさらに踏み込んだらそこには何も無かったのでした。しょうがないからハンドルをきりながら靴の裏で少しずつ制動をかけようとしたけれど、スピードは増していくばかりです。雨でぬらぬら路面が光っています。 …

塩味が多すぎるとしょっぱい、甘味が多すぎると甘すぎる、そんなのと同じように旨味が多すぎると旨過ぎ(？)みたいな状態になると思うんですよ。そしてそれは美味しさとは違うと思うんです。いや、何の話かというと最近のラーメンのことですが。そんなに旨味…

「毛布の中で目を閉じている時間が一番幸せなんですよ。たぶんね、この世界が嫌いなんです。｣「そうなんですか？」「はい。」

スペースヒーローがいるらしい。その話を聞いて、早速私は彼にインタビューを試みることにした。スペースヒーローの家は大理石と縮退物質で作られた大きな白いコロニアル調の豪邸で、小さい丘の上にたっていた。スペースヒーローの執事に案内されて、中に入…

正面解説北の富士、向正面解説舞の海が、お互いに違う意見を表明してくれるために分かりやすいと思います。それは違うよ、と。 武双山が引退しましたね。時代の移り変わりをひしひしと感じます。北の富士さんが推している白鵬は、強いのはいいんですが全盛期…

「明日からって。」 ぐずぐずしていると日が暮れてしまうから、買うだけのものは買って家に帰ることにした。タマネギはまだあるからキノコとニンジンと半額の牛のスジと。適当に味をつけて二時間煮ればだいぶ食べられる代物ができる。下ごしらえだとか火加減…

ミカンの皮イモムシの皮洗って月にしよう渡ったまま戻らないままあさって機械の日のお祭りは花火と万国旗父はまだ私は踊ってアンテナを張る

足止めを喰らった。 八月が終わるというのに、僕はまだ北九州の小倉にいた。小倉の町の柳は粘着力が強く、僕はそこに捕まったのだ。もう一週間になる。これでは学校の始業式に間に合わない。携帯が鳴った。「モリモト イマ ドコ？」 鈴木からのメールだった…

「二酸化炭素を吐くな!!｣「なによ？」「暑くなるじゃない地球が!!」「・・・ああ。温暖化の話？ 無理だろそれ。｣「やってみもせずに無理とか言うな!!｣「・・・・・・・・・・・・・・・やっぱ無理だけど。｣「そうか、ならいい!!｣「いいのか。・・・何だその…

適当に書き写してみた。それがなんだか花鰈みたいだ。「言われるのである。カツオノエボシの刺胞に住むのは扁平動物の一種であるムシダマシの一種であるが、近年それがカツオノエボシの生殖活動に大きな役割を果たしていることが明らかになった。カツオノエ…

不審者である、と答えざるをえません。自分が何者であると思っているかと聞かれた場合。

自動販売機の陰に不思議なものを見つけた。それは、１８９２年の製造年月日が記されている赤い水鉄砲だった。僕はそれを家に持ち帰った。

頭を洗っていないので痒くて眠れなかった。カロンの港から出て１０日、このピークをすぎれば慣れるのだが。内地の宇宙船乗りたちはシャワーどころか風呂すら付いている船に乗っているとか聞くが、ここではそんな余裕はとてもない。少しでも軽く、少しでも遠…

泣き虫なのでしょうがないですが、コーラの缶が見つからなくて涙が出てしまったときはどうしようかと思いました。イチローがメジャーリーグ入りした年に記念で出たもので、ちょっと好きな感じだったのでとっておいたはずだったのです。たまに自分の残したも…