これだけでよかった。 筍を採りに藪に入る。普通は春が旬だけれども、この道の向こう側の竹やぶだけは毎年秋に生えてくる。祖父が私に教えてくれたものはそれぐらいで、他は本当に困った人だった。浴びるように酒を飲んでは、だれかれかまわず毎日諍いを起こ…

カネシに身も心も染まってしまった人々を、どのように救えばいいのか。WHO世界保健機関は18日、総会にてカネシの使用禁止を賛成192 棄権1の賛成多数で採択した。唯一棄権した日本であるが、採択後の記者会見でこの決定を受け入れることを表明した。この決定…

ディズニー督戦隊はディズニーキャラの唯一性を守るため、余剰ディズニーキャラの抹殺を旨とする特務部隊である。主な装備は核地雷。エビスビール工場の地下に帝国があることをご存知だろうか。帝国というからにはそれ相応の版図と国力を有していなければな…

ぽたぽたとコーンからこぼれる溶けたアイスクリームに、目をつけた一人の少女がいました。世界中の溶けて散逸したアイスクリームの総量は年間35万トン、これをもし独り占めすることが出来たなら。 「一生アイスクリームには困らないわ」 少女は祖父の書斎に…

蕎麦の安さを棚に上げて、うどんは自らを蔑んでいる。紀州の酢橘を、纏う事を恥じているのは、それは酢橘の性質がどうのという話ではなく、自らの性質が酢橘にとうてい吊り合うものではないという事が浮き彫りになるからだと。うどんは己の体の白さが気に入…

海老色の甲羅を担いで、よちよちと歩いて行きます。出会う人々は皆、どこか高貴な雰囲気を漂わせて、何だか竹林で美しい言葉について語り合っていそうであります。甲羅が卵を産み始めた、プツプツとだいだい色の、1mm程の球体。私は慌てて、誰か、誰か水槽を…