足止めを喰らった。
八月が終わるというのに、僕はまだ北九州の小倉にいた。小倉の町の柳は粘着力が強く、僕はそこに捕まったのだ。もう一週間になる。これでは学校の始業式に間に合わない。携帯が鳴った。
「モリモト イマ ドコ?」
鈴木からのメールだった。文字制限は最近の日本の風潮だ。用件はカタカナ10文字以内が礼儀だ。金網に覆われた軍用飛行場からプラスチックのおもちゃみたいな飛行機が飛び立っていく。
青白い顔の人間を生んでいるのは、「抜けるような青空」なのではないかといぶかしんだ。
「コクラ」
柳はまだ、僕を放してくれない。