ウソ日記

ない。ある。

夏は嫌い

 「攻撃的なアートなんだから」とおじさんが言った様に、僕もまた第一人者として歳時記を操るのだろう。例えばアザラシを秋の季語に移して、夏は嫌いだからページを減らそう。蕎麦を食べよう。ホウレンソウを煮込もう。

 ホウレンソウと蕎麦で鯨のようなものを作る。白い磁器のお皿に土台としての蕎麦を中央に、上に煮浸しにしたホウレンソウを形状に整え、目にはウミブドウ、ソースを散らして。別にウスターでもいいんだけれど、例えばバジルとか梅とか松の実だとか、きっとそんな感じ。そういうので彩りよく、完成! さあ食べましょう。
 驚いたのは彼の家族構成。
 海のドライバー、片桐のサンドバック。
 潮留の入り口と出口。

 砂浜に下りる階段のところで待っている。互い違いに組み上げられた灰色の長方形のコンクリートブロックが高さ三メートルほどの崖を形成しているその下の、ハマウツギとかそういう。男たちの手だからじゃないかと思う。交通標識。あっちに行く。20km。こっち。33km。