ウソ日記

ない。ある。

キホーテ

 出口が無かった。もしくは出口しか無かった。キリマンジャロ的な豆を挽く音とキリマンジャロ的な匂いを思い出して、ダンスペーパーを書いている。ダンスペーパーを人形に入れれば踊りだす。背景は黒。照明は青い。違った、白緑の壁に、オレンジだ。どっちでもいい。ニシン漁に出かけた労働者達が入る場所ではない。
「・・・オールデイズ、オールデイズ、ウィアハペンズ・・・」
「なに歌ってる・・・、影だよ影、人形の」
「本物だと思った」
「ここからじゃ見えないよ」
 どうしようもないのだ。たとえば本物の戦争はおもちゃの時代に終わったし、資本主義的経済発展においてはキホーテの存在すら怪しい。サラダなんて食べたことが無い。靴はある。裸足で歩くのは、とても危険だ。
「へースティングスへ?」
「・・・ああ」
「じゃあ僕も」
「くんなよ」
 麦畑を越えていく。かかしが、それを追いかける。