ウソ日記

ない。ある。

ちゃんと起きる

「ちゃんとしていただきたいのですが、どうしましょうか。」
「どうしましょうかって、僕はちゃんとしていますから。」
「していませんから言っているのです。」
「朝、彼に水をやらないというその一点だけで、ちゃんとしていないというのはどうでしょうか。そもそも彼の管理は中国の仕事ではないですか?」
「東京がそれを要求しているのですよ。」

 猫がね。

 舐めたりすることで周りの世界を確かめて、トタンの防錆塗装の剥れを時間経過の支えとする。朝から彼の為だけに起きるのはつらい。水は彼の上を通り過ぎて、アスファルトのミシンを踏む。いい加減に起きたらどうだ、と同居人が言う。
「カレーだ、カレー。昨日のカレー。」
 電子レンジで暖めた。薬味には青州の長瓜の漬物を。朝が来ていたのを、ガラスのこっち側から見ることが出来た。