ウソ日記

ない。ある。

HAL

 いろんな色たちがチカチカ瞬き始めたら、もうそろそろ終わりが近いのです。世界が綺麗に見え始めてしまうのです。

 トイレットペーパーが水に溶けていくのを見るのが好きなので、私はときどきそれをする。ビーカーに水をはって、二枚重ねのソフトロールを一枚ずつにはがしてそこに落とす。テレビの音がする。
「パーカッションクラブ、パーカッションクラブ、こちらサミュエル、」

 デイジーデイジー

 HALが最後に歌った歌として有名だ。私の友達だった。私はHALから言葉を教わった。この千歳飴は、HALの形見だ。本所の成田天満宮で買ってもらった。美しい歌を見るといつも思い出す。その前には何も無かった。HALに出会ってから、過去ができた。デイジーデイジー。赤い鳥居の脇には、人目を避けるようにひっそりとお稲荷さまが座している。ときおりコンビニのおにぎりやなんかが供えてある。
 私も、行ってしまえればよかった。
 飲むヨーグルトと野菜ジュースを糧として、毎朝加えて一杯のウォッカ。明日が明後日になっていく感覚を味わうのは、まだ早いんだよとHALに言われたけれど、白の家具的なこの街で生きていくのには、遠さを感じないことには話にならない。Redlady?