ウソ日記

ない。ある。

川のこと

 僕も、あとで行くから。

 牛乳パックで出来た船でした。プールではそれなりに大丈夫ではありますが、川を下るとなると話は別です。橋桁付近の、カシミール渦からフローレンス・小林渦にちょうど移行する領域に巻き込まれでもしたら一瞬でバラバラにされる恐れもあります。しかし、それでも彼らは行くのです。

 千人の小学6年生が集まって、4人づつのグループごと次々に彼らのパック船を流れに乗せていく。思い思いの形に作られたパック船のあるものは、流れに乗った途端に分裂し、乗っていた子供達を川に放り出す。助ける大人はいない。ゴールは河口の港町だ。横断幕が岸から反対側の岸へと張られて、そこには、「おかえりなさい」と書いてある。今年、帰ってこられたのは男子91人、女子114人。彼らはこれからエリートになる。

 水面に近い、低い視点からの眺めが好きなのでした。シギが羽を休めていました。