ウソ日記

ない。ある。

ハツネミク

「鯖織り達の攻勢により完全に包囲された首都東京。鮭GUY達の航空支援によりなんとか陥落を免れている。だが、人々はそのことを知らない。知らないのだよマイダーリン。」
「ほほう。」
「彼等は不断の日常を生きている、普段の会話に享楽し負担の重みに耐えながら、終わり無き戦場を生きている!」
 そうやって駄弁を吐きながら、早乙女辰夫は生きていた。彼にとって不幸なことに、彼には彼の話を聞いていてくれる存在が存在した。幼なじみのハツネミクというロボットである。彼女は、あえて彼女と表記するが、彼の話に付き合ってくれる。
「だめだそんなの。」
 辰夫は打ち込みピッチを調整する。
「なぜだい? そもそも生というのは文脈化と構造化の絶え間無きせめぎあいでありエリクチュールはガタリと共に死んだのだ!! 笑い飯って面白いよね?」
「そう?」
 辰夫はそっけない応答が好きだから辰夫は、違った、ハツネミクはそう答える。
 ラジオから古い歌が流れる。

「……メールト、溶けてしまいそう、好きだな……」

 辰夫はこの歌が嫌い。