十二月兄弟
終わらないように爪を研ぐ
終わらない夜に爪を研ぐ
セプテンバーは蚕だった。蚕であることをひた隠しにしていた。ノーベンバー以外は全員、そのことはもう知っていたけど、彼等は皆、自分がその事を知っているということをセプテンバーに対しては黙っていた。
ある晴れた夜のこと、セプテンバーがとことこと畦道をあるいていると、ノーベンバーが泣いていた。
「どうしたの?」
「みんなが僕だけのけ者にするの。」
「そうかー、それは困ったね。」
「人ごとみたいに言って!」
「どうしたんだよ急に……。僕がいつ君をハブにしたっていうの?」
「じゃあ聞くけど、君はいったい何だい?」