シアトル
フルーティにたてつく、ニの話。ソーキそばに恐れをなす、フの話。
シアトルの光熱費はお隣のウエクセの2倍くらいする。音を放つ怪獣が歌のまねをする。
カイツブリが喉を震わせて、紅鮭たちが帰ってくる。
三番街のアパルトメントに戻ってきた僕を待っていたのは、大量の封筒の山だった。あて先はどれも僕の名前で、でもよく見るとRayがReyになっているのもあったり。送り主は全部違っていた。ウィリアム・サーグラム、ミツオ・タカタ、トールセン能力開発機構、ベネグラント保険、MIT総務部、etc。中身も全部違った。何でいちどきにこんなに僕のところに手紙が届くのだろうと思った。怖くなった。
車は速く走ったほうがいい。鳥は高く飛んだ方がいい。
にんじんは食べる、猫を飼う。
縞々のネコを飼う。
次の日も手紙攻勢だ。逃げた。