ウソ日記

ない。ある。

マイアミ

 シーズであるからニオブは怒ったのだけれど、だって空は何処までも高かった。何処までも高いのなら、何処までも行けるはず、そうニオブは信じた。クラス?Uバイオハザードがケープカナベルを席巻するさなか、マスタングの一番安いやつに乗って、一昨年の春の日はまだ何も知らなかったのになと、ラジオのスイッチを入れた。流れてくるのはジャパネの音楽「サタデナイト」。なんというか、ほほえましい英語が心地よいっていうかくすぐったいんだけれど、私が右腕に入れている漢字のイレズミ、あれも日本人から見たら同じような感じなのかな。J-Will、ヒートに来て随分大人しくなっちゃったけど、彼の真似をして入れた、「気違い」ってやつ。ニオブはもうすぐ二十歳だ。
 曲が終わって、ラジオからは、また、オクラホマのニュースが流れてくる。あんな田舎がステイツだろうがなかろうがそんなことはニオブにとってどうでもいい。明日飛べるか飛べないか、短答試験の結果だけが彼女の気掛かりだった。