ウソ日記

ない。ある。

 紙の白さを残して、ザカザカとしたストロークと線幅大き目の輪郭。要所要所にだけ色。何か違うものを見ている目。その手の絵に弱いのだけれど、コカコーラの空き瓶と、少し曲がっただけの王冠、店先では男の人が何やら世間話のようなものをしている。この地方の最後のコンビニが撤退した跡地をどうするのかとか。青年部が何かに使うんじゃなかったか、とか。エノコログサはどこにでも生えている。その茂みの中に、カナヘビがいるっぽい。板壁に塗られた白いペンキがはげて、中から黒いものが覗いた。目も見えた。そういう所に棲んでいるものにかかわずらっちゃいけないよと母さんは言ってたけれど、まあ、それは無理だ。こんな町に住んでいる限り。