ウソ日記

ない。ある。

ベストセリング、ユー

 ブックウィンの白背、それは畏敬と軽蔑と嫉妬と興奮の入り混じった大理石模様の棚を作る。ブックウィンはベストセラーしか提供しない。「蛆のわいた猫」、「箸」、「天皇家に聞いてみました」、etc、どれも日本人の百人に一人が買った計算になる。

 単純なこと。それしか読むものがなければいい。

 創始者の篠田氏が本当に実際そう言ったかどうかは知らないが、われわれはでもやっぱり、そのテーゼが心地良かったのだろう。読むものを与えられて読んでいるという安心感に抗えなかった。言葉が洗練されその言葉しか知らなくなっていく。適応する。先週私が買ったのは、「多分今度は美濃囲い」。定跡書なのにそろそろ200万部を突破する勢いだ。No.289だ。