「そりゃもうアスファルトや石材の隙間から無理やり芽を出し・・・・・・」
そういう話とはまた違う。
石畑と呼んだ。石の花であるビル群を育んだ。そして今ゆっくりとそのつぼみが開かれる。屋上の熱交換機がもつれて崩れる。
「おとなしいじゃん。老人たちはまああのアレだけど。」
目がつかれた。つかれる目をついばんだ。目の中からはもう少し濃い膿。ハダからのよりもさらに濃い膿。つくしとノビルの春野草の生える土手がどこまでも続き、心地よさの保障をもつ大気温の揺らぎは一定の値以下だ。サローヤンの本は読んだことがないけれど、さすがにそろそろ恥ずかしくなってきた。