マナ

　霜が下りた朝は一面の霧だった。昼になれば晴れるかと思ったが一日そのままだった。ウサギ罠を廻っておきたかったが迷ったら大変だと思えたのでやめた。　それなりに体裁を整えた小屋だとはいうけれど、まだ隙間からは風が吹き込むし、おそらくこのままじゃこの地方の冬は越せない。水苔を詰めて泥を張るのが現実的か。と、僕には思えるのだけれど、実際の所どうするのが一番いいんだろう。

　魔法は使いたくない。

　この土地の支配的な植物群はイネ科のハリオ・ヨネフィギア（ノデッポウの一種）の多年株を中心とし、周囲に二次、三次植物（キスケグサ、スダマリソウetc）を配したものだ。本来この形態はムルキ・カシワマツ配合体に較べマナの保持力に於いて明らかに劣っているのだが、冷涼な気候と