ウソ日記

ない。ある。

カニもどき

 高速道の下を走っていく。柱や構造体に一つづつ記しをつけて走っていく。オンボードグラフィックカード、焼きついたエンジンのヤマハスタイル。ガソリンに火をつけるために生きているんじゃない。憶えるために生きている。忘れた頃の長門の火、船長は吉岡。吉岡さん。
 襲い掛かってくるそういうものに対する何かとしてラド−=アスチン光ポンプは生まれた。甲殻類の出汁に勝る何かとして生まれた。甲殻類の出汁は、そういう襲い掛かってくるものに対抗するための最良の物として今まで僕達のような人間に頼られてきたのだけれど、もうだめだ。甲殻類の出汁ぐらいではもう無理だ。甲殻類の出汁でいくら幸福感の二重三重のノードを築いても、いくつかの爪であっさり貫かれてしまうし。