ウソ日記

ない。ある。

あるときは石に、または街に

 持ってこなければ何にもならないよと、ハハナシが言いました。ハハナシは門番です。街の門番です。門からは街の白い石が列になって中央に至ります。化石を伴う石灰岩の綺麗に磨き上げられた端面には赤の染料で染められた糸で織られた織物が飾られています。植物はこの街には一本もありません。額に貼るラベルです。
 額にラベルを貼ってもらうために、僕達は頑張ってきたのでした。そのラベルは黄色に緑の文字で言葉が入っています。「ちゃんとした人間」という言葉です。猫です。猫が街に入っていくのを門番は許しません。ハハナシだって例外ではないです。でも僕は一度だけ街の中に入ったことがあります。