ウソ日記

ない。ある。

靴流し

 昨日、ビニール袋詰めの26足の靴を、川に流しに行った。25時頃だったから日付的には今日なのか。家の近くに架かっているのは片側一車線のトラス橋で、すぐ下流に新しいバイパスの吊り橋が出来たため車通りはほとんどない。橋の長さは453m。橋桁のほとんどを、ゆるい流れの水が洗っている。今その光景は目では見えないけれど、音で存在を知らせる。ぶわぁーっと音を立てて、時速80kmくらいの勢いで赤いセダンが通り過ぎていく。手摺越しに靴たちを投げ込む。割と苦労する。潮の匂いがする。
 捨てられた靴たちは、川の真水の流れに乗ってわりと簡単に沖まで出る。その後だんだんと浮力を失い、海岸から100kmほど離れたところで着底するはずだ。そのあたりには今、靴の地層が形成されつつあるという。革靴からヒールから、安全靴からピンクのトゥシューズまで、海底に靴たちが降り積もっているのを想像すると楽しい。