夢

　チェーンの古本屋で、ゴッホや何かの大きな画集が１００円で叩き売られていた。３０年位前の全集物の一部だ。ちゃんとした箱カバーに入ったそれは開くと本の匂いがばっとして、つい買ってしまった。この大きさは置き場所をどうしようか考えさせる。「つい買ってしまったもの」だし、一通り読んだら売ろうかとも思う。最も、引き取ってくれるかどうかは知らないが。売ることにするなら、それは私が初めて売る本だ。
　なぜか最近、楽しげな夢ばかり見る。そのため、睡眠時間が増えた。朝起きる時間は決められているから、帰ったら他のことは何もせずにすぐ寝るようになった。元の睡眠時間が足りてなかったわけではない。ただ単に、夢を長く見るために増やしたのだ。なぜかレブロン・ジェームズとマッチアップしている自分がいる。バスケをやるのは高校以来だ。ベッドの上の窓に電車が通り過ぎていくのが映って、乗客たちに手を振る。父と母と一緒に、車でドライブに行く。
　おかげでストレスは無いが、他のことは何も出来ない。洗濯物がたまりきってしまった。明日着る物が無い。それでもいいと一瞬思ってしまって、怖くなった。今日の夢には早速ゴッホが出てきて、私に絵を教えてくれた。クレーの描いた線の男が歩いていった。ついていくと、
「おめでとう」
と、私に言った。