ウソ日記

ない。ある。

火ポエ

代替されたスマートさに、おののく、そんなとき。
人への恐怖心が、カリカリと心の硬膜を食い破りそうになる、そんなとき。
君はいつもそばにいてくれたね。
だから僕は今日まで生きてこれたんだ。


 左京区の地下鉄事故の検分は午前三時までかかり、斉藤恭介は胡乱な目つきで自転車を漕いでいた。今から寮に帰っても眠れるのは幾時間か。とはいえほかに行く場所もない。在所の寝所は鞍馬組に占領されていた。彼らの出したカップ麺の容器等のごみは、明日斉藤らが片付け、資源ごみの袋に入れて集積場まで出しにいくのである。落葉の出であるというのはそれだけでなにやら肩身が狭いのであった。
 不意に、強烈な光に包まれて斉藤は一瞬前後を見失った。反射的にブレーキを握り閉める。しかしおかしなことに、その結果たる制動の感触は無く、そればかりか、握り締めたはずのブレーキとハンドルの感触すら、斉藤の手の中に無かった。この感触は夢か、と斉藤はとっさに考えたが、夢を自覚する類の夢としてはどうにも臨場感に欠けた。(中略)

「ワレワレハ ウチュウジンデス」
と斉藤は言った。
「これが、今回の地下鉄事故……いえ、地下鉄殺人事件の真相を暴く手がかりです!」
「……何を馬鹿なことを言ってるんだ。」
桜田警視……、いえ、アダム・アームストロングさん。あなたは午後10時、自宅を出た後、裏町3丁目を通って被害者宅へ向かった。」(後略)



夜空に瞬くスピーシーズをかざして、
いま、僕にできること
たくさんのマイケルたちの笑い声を、
いま、君に届けよう。