ウソ日記

ない。ある。

緊急

「なんだって?」
「なんですよ」
「なんだと?」
「ナンではなく?」
 最後に発声したのはフリ夫。昨日印度屋でたらふくカレーを食べた。サラダには水菜とパプリカ。キューピーのフレンチドレッシング。その記憶がついそう言わせた。当然みんなに睨まれる。
「ふうん?」
 と水谷司令。まあいいわ、と言って話を続ける。

 昼食休憩もままならないままトイレッガー一号で東名を走る。車内でサンドイッチをぱくつく。球根の管理が適切でなかったんじゃと後部座席でフリ夫と六三郎がしゃべるのが聞こえる。球根は今回かんけーねーよ、運転している雄大が多少いらついた声で言う。奥浜名で下り、北へ。山の中の第三研究所、併設されたダム湖。謎のメカ機械。溜飲を下げるだけに性を凝らす連中がブルースを口ずさみながら渋谷の街を歩いているという映像を、延々と画面に映すテレビジョン。ニンニクと唐辛子の束が魔除けにおいてある。
「魔除けってか虫除けやね」
「確かに虫出そうだなここ」
 本機の仕様上、イレイス族の発見は失われてきた。イレイス族の発見が、ファンブルイカーの錯乱によって、失われないままに保持されたのが今朝の出来事である。