ウソ日記

ない。ある。

なんなく

わたしはそんなふうじゃない、もっとよき何かだ。
そんなふうに思いながらこの45年を生きてきた訳だが、最近、その「よき何か」が何だったのかどうも覚束なくて困る。これが老いか!とクワトロを気取って日々と戯れてはいるのだが、求肥の甘やかな皮に包まれた不安感は私に不明瞭な半覚醒の夢をもたらす。私はそのとき日中にいる。回転するハムスターの運動器具に乗っている。その回転のよってひきおこされる光のチラチラに、私はひどく重大な意味が隠されているように感じている。息の浅さに目が覚める。鼻から入ってくる外の、身体の外の、空気を貪る。それまでは自分しか食べるものがなかったのだ。夢の中の世界では。