ウソ日記

ない。ある。

高炉

高炉で私たちはいくつかの思い出を焼いた。
パン、ご飯、ソフト麺
おもち、マシュマロ、ピスタチオ。
我々の煙が空に昇り、ジェット気流に乗ってカリフォルニア沿岸に降り積もるのだ。
春の強い風にまかれ、目を眇めて陽を見た。

渡井の父は技師である。配管の設計を主にしていた。
イリアムズ氏の公式をよく使う類の仕事だ。

ブオンブオンとうなりは足の裏から私の身体に伝わり、
私の身体をあちら側へと後押しする。溶けた鉄のやわらかい赤い光が私を包む。
好奇心、か。