ウソ日記

ない。ある。

春日さん

 過剰な意識で過剰にワッフルを焼きすぎてしまうのは、過剰なことを愛するが故の春日さんの行動なのです。過剰に詰め物をしてリンゴを焼きます。ホイップクリームにはもちろん過剰のバニラエッセンスです。
 春日さんは親と二人で暮らしていましたが、親は一人で二人のような生き物ですから親と二人でと表記しましたが、もちろん父親と母親がいます。春日さんの母親は春日智子と言います。春日さんの父親は春日源吉と言います。昔の人です。昔の人はこう言ったものでした。「老いては子に従え。」その言葉に従う義理もありませんけれど春日さんは、朝だから頑張るようなことはしたくありませんでした。だのになぜ? なぜか、ワッフルを焼いています。
 シンクは結構広いので、汚れ物はまとめて洗います。泡だて器がやっぱり大変です。分離したタネがボールに張った洗い水に解けたり解けなかったりして浮いているのを見るのは好きではないので、さっさと流したいです。テレビを見ています。広い世界にたった一人のテレビ、甲子園の方から歩いていきます。京都に着きます。春日さんは、大変だなあと思うのです。京都の高速道は後醍醐天皇が作られた、そういう嘘を教えてくれたのはお母さんでした。お母さんの嘘がうれしくて、その日は毛布をぎゅっと抱いて、うふうふしながら眠ったものです。