ウソ日記

ない。ある。

30年後の夏

 2705がクライスラー
 神谷電機。
ポンコツ墓場。老人を、見る。
      サービスの人。
 雲。旗幟。赤い。
「待った?」
ブラウン管に話しかける。
ブラウン管が記憶している。
東京のエアコンの音、ざわざわする
            外歩く人たち
交差点の音楽
信号が変わろうとする
止んで
    「また何か聞こえる。せっかく録画してたのに。」
「声? 怖いな。」

「私はずいぶん待ったよ。」
 老人が呟く。