内海
礁に囲まれて大型船では外に出れないし当然中にも入れない。古くは火山島だったのだろうけれど面影もない、島々が点々と。帆船が一隻水路に座礁している。戦列艦クラスより一回り小さい。大分ボロボロで、もう一度大きな嵐が来たらきっとバラバラになってしまうだろう。
観光局のAさんが言った。
「最近頻繁に起こるからねえ。」
過去が時たまやってくるのだ。
筆石の大群体が現れたときには、それをブルーキュラソーとディタとソーダに浮かせたものを訪れる観光客に振舞ったという。事務所には小さいながらもちゃんとしたバースペースがある。
「骨。」
と言って少年はその白い珊瑚状のものを差し出した。人の骨には見えづらいが、海中に放置された人骨は時としてこのような変貌を遂げるのだとか。海水中の塩が何かしらの作用をするのか。