ウソ日記

ない。ある。

大人になって

 マハタリに被せていたのだって、結局はモヤシだった。大人になることだって恐れ多いものだとジョンは考えた。そうすれば大人は辛子を肥やすし、堆肥には柚子を使うのだ。この大人はもうひとつ秘密を持っていた。大人の秘密の中でもあまり喜ばれないものだ。大人は弁護人を飼っていた。家に帰ればいつでも自分の弁護をしてくれた。精一杯、誠実に。明日からは今年の柿の出荷が始まる。オーエンズボロの農家の納屋では日本向けのダンボール箱に詰められた干し柿が、最初のスタンプを押されている。12月の第三週ごろにはデパートの店頭に並ぶ。年始には欠かせない。
 子供のときに感じていた恐怖は忘れてしまった。腐っていく恐怖だ。生きながら腐っていく。生きながら何もかもに無頓着になって醜態を晒す。不細工で意気地ない言葉ばかり繰り返す。さて。

 ほうじ茶のゼリーと小豆のソーダ

 好奇心がほとばしるけれども犬はない。さすがにない。ありえない。
 ありえないどころの話ではない。積極的におぞましい。「こんにちは赤ん坊」のCMと同じくらいにありえない。おぞましい。暴走していく彼を見てさすがに冷静になった。でもどうか。 いや、どうかと聞かれてもどうか。子供等のことを思ったら涙が出た。犬がいやだ。子供等もいやだ。子供は醜い。
 どうして好奇心を満たしたくないのか。今度はそういう思いが出てきた。今度は今度はといっているばかりでちっとも今度はやってこないし今度にならない。やってくるという言い方が変だ。戦闘機のようだ。男の子はそういうのが好きだ。