ウソ日記

ない。ある。

サカタ

 コーンロウのサカタくんは、実際あまり似合ってない。前の方がまだいい。前の丁髷みたいな髪形の方が。
「法律の方の意味でしょ、あの髭のじゃなくて。」
「それだと意味通らなくない?」
「結び目で数数えたんでしょ。」
「モロコシの?」
「円錐の。」
 真っ白でだだっ広い平面の上で、サカタくんがひとつひとつ円錐を数えている姿を思い浮かべた。想像の中のサカタくんは、髪の毛で記録しているにも関わらず途中で分からなくなっていて、うっかり笑ってしまった。

 外は雨が降っている。窓を半分開けていたので、畳が半分濡れた。サカタくんは大根の面取りをしている。「風呂吹き大根でも作るの?」と聞いたら「そうだ」と答えた。鍋が無いはずだけど。