ウソ日記

ない。ある。

ドラゴンの子

 ドラゴンの子供が壊れた液晶の機械をいじくっている。
 安い電子音のゲーム音楽

 商店街は開いている店でももう年金受給者の道楽のような感じで、そういえば蕎麦屋がこの辺にあったと思うんだけれど。割と好きな味だった。こっちの家に来るときに、よく寄ってた。煮干しの味がするツユで、暖かいものには必ずナルトがのっていた。隣の電気屋は、誰かここで買う人がいるのかと思う値段と商品構成だ。どこでも買える半端に古い商品と半端に新しい商品がほとんど定価で置いてある。パナソニックの販促ののぼりが、それでも一応飾ってある。
 踏切を越えた。カラスがいた。列車が通る頻度が一時間に一本のその路線の脇にはいくつかの塑像。知り合いの顔のようなのがあった。

 コカトリスを餌にしてドラゴンは育つという。三時過ぎに来た電車の、まだ若い運転手兼車掌が話した。石化されながらドラゴンはコカトリスを喰らうのだし、だからこそドラゴンの皮膚はあんなに硬いのだ、と。幸いなことに自分はまだどちらにも遭ったことがないけれどね、いろんな話をお客さんからよく聞くよ、と、子供相手の気安さからか、いろいろと教えてくれた。

 外見で得をすることは多い。もちろん損をすることも多いけれど、比べれば得の方が断然大きい。