使者
「塗料がかさぶたのように剥げかかったパイプが好き。下に水が溜まってたりするともう最高。波板によっかかると白いのが背中にバッと付いたりして、そういうのもいいよね。」
何言ってんだ、この女は。と思う。これは何か? ありったけ遠回しな新手の嫌味か? それとも新種の初対面ウィットか? 青服捕まえてよく言う、と思う。時籐の知り合いだという彼女は、白と緑の服を着ている。
「とにかくだ、こっちは・・・。」
「東京から。」
封筒をよこした。思わず顔を見た。
ペパーミントの入ったココアとダマスカス錆の白茶。両方とも彼女の頼んだものだ。自分の前に二つとも並べて、嬉しそうにしている。
封筒なんてものは久しぶりに見た。