イオ
テキスター共にやられた。タイプライターを神具にしてドット打ちを討った。ツーベース、セカンッ、見事な中継プレー。
永野は腰を下ろした。先にコタツに入っていた加藤が言った。
「見なよ、あきれるわひでーウソ。結局のところお決まりの自己診断で済ます気さ。ラインの無責任さに言及もしねえ。クミアイどころかロームにも叩かれるからな。」
ミカンを取る。コタツの上にはミカンのカゴ、それこそワインとパンだ。奉じる相手は違うけれど。奉じるで思い出す。
Faithful to Thee, Terra, in Our Fashion.
「われらなりに、テラよ、奉じるのはきみだけ」
何回も何回も、この言葉を繰り返し叫びながら歩いたことがある。向かい風は東風、300m先に無人駅が見えた。進行方向に長い影が落ちていく。