ウソ日記

ない。ある。

テクネチウム

 テクネチウム135を使って希土類の焼入れをした。中性子が極端に多い。普通ならば不安定なテクネチウム135を使って焼入れをした。格子状に場を作って強引に安定させる。135でいる方が安定であるように排他原理を働かせる。それはつまり高密度と言うことか。テクネチウムを使って。
 雨が降って木が出来るのとは全く違う自然の働きでありそれは青い色の科学の働きだからだつまり。つまり。またテクネチウム135に触った。超核のテクネチウムだ。吸収と排出の均衡だ。希土類はいつもピカピカしがち。しがちなのは明日の朝に猫を拾った後やさしく抱き上げてパンとミルクをやってそれから保健所に連れて行く。科学が好きだ。
「ざんじばー。」
「ざんじばー?」
 たどたどしく語りかける。半径570mmのステンレスの円筒のシェルには白緑のペンキで色が塗ってあって赤い色で何か書いてある。
 
 Why do you think?

 チカチカまた光った。チカチカ、チカチカ。チェレンコフ光に似ているけど違うのだ。星の光なのだ。本当だ。星の中から来る光と同じなのだ。テクネチウム135の星の光だ。科学が好きだ。ここにいるみんな、科学が好きだ。高炉の錆びたのの中に暮らしていた。