ウソ日記

ない。ある。

塗り箸

 使われなくなった古い塗り箸を燃やした。親戚が多く集まる日などにかつては使われていたが、剥げたり色が褪せたりして見栄えが悪くなり、出番はいつからか無くなった。台頭してきたのは割り箸だった。10年ほどの間、物置の戸棚に仕舞われていたが、不憫に思った彼女がその孫に燃やさせたのだった。炎の中でそれはぱっと燃え上がり、もち米を蒸す火勢の一助となった。へっぴり腰の二人がそれを搗いた。