ウソ日記

ない。ある。

料理

「心のための料理というのは、あまり誉められたものではありません。ストレスに押されて、安全毛布を作るために台所に立つ姿は滑稽そのものです。」

 そのとおりかもな、と思う。

「コミュニティの料理は新大陸由来の穀物、まあつまりビーンズとコーンをベースにした深南部系の料理に、宗教的な特色を足したものだったよ。つまり、…まあ、知っているとおり、動物の神経系。たいていは前述の穀類とともに煮込まれて出てきたけど、宗教の聖日や過ぎ越しの祭りのようなハレの日なんかにはそのまま出てきた。楽しみだったよ。あの事件の時僕は六歳で、そのあとそれらの料理は口にしてない。養父母はドイツ系だったし、あれ以来、そういうものを食べたいなんて発言することは社会的死につながるようになったしね。近頃じゃ狂牛病?なんてのもあって益々だよ。」

 たまに、台所に立って母がそれをどうやって作ってたかなって思うことはある。たいていそういう時は疲れているという自覚がある。あれへの信仰とは、まったく無関係な話だ。

「少し前にトーフで試してみたことがあるけど、さすがに淡泊にすぎるね。」